クモの糸のなぞ

芥川龍之介さんの「蜘蛛の糸」というお話をご存じでしょうか?


地獄に堕ちたカンダタをお釈迦様が救おうとして
蜘蛛の糸を垂らすあのお話です。


あのお話、私の中ではいくつかなぞがあるんですよね。

  1. なぜ、お釈迦様はたくさんの地獄の亡者の中からカンダタを救おうとしたのか?
  2. なぜ、カンダタは裁き(?)を受けて地獄に堕ちたのに蜘蛛の糸の善行が考慮されないという、うっかりミスがあったのか?
  3. なぜ、蜘蛛の糸は切れたのか?


1.については、たぶんたまたまお釈迦様の目についたからでしょう。
ぶらぶら散歩していて目についたからと書いてありますし。
いい加減なもんですね。
あるいは、一番救いようのない人として選んだのかもしれません。


2.については、本当にわかりませんでした。
ひとつ思いついたのはカンダタは地獄に堕とされたのではなく
みずから望んで行ったのではないかということ。
そして、カンダタが蜘蛛を救ったことを
忘れていたのではないかと思いました。


3.については、あの世界では人の重みなんていう物理法則は
関係ないのではないかと予想できます。
つまり蜘蛛の糸が切れたのはそういうことではない。
上がってくるなと言ったカンダタの無慈悲な行いによって切れた、
あるいはお釈迦様が手を離したなどと言われる方もおられます。


私はあえて少し違う理由を挙げてみます。
それは


蜘蛛の糸が切れたのはカンダタが切れると思ったから


蜘蛛の糸カンダタが信じている限り切れることは
なかったのではないかと私は思います。


蜘蛛の糸は切れてしまいましたが
カンダタにはお釈迦様が救おうとしてくれたという
希望は残ったと私は考えています。
そのことにカンダタがいつ気がつくかはわかりませんが。


みなさんはどう考えられるでしょうか?
ちょっと不思議なクモの糸のなぞでした。